築45年あまりの木造2階建て。延べ床はおよそ38坪。1階に居間と和室がふた間、縁側と台所。2階に部屋がふたつ。伯父がひとりで暮らしていた家です。
この家の遺品整理を業者に頼んだら、いくらかかるのか。私はそれを、何度も調べました。先に正直に書いておくと、うちはまだ、業者に頼んでいません。だから、私の手元に領収書はありません。これは「払った人」の記録は持たないまま、一軒家を前にして金額を調べ続けた遺族の記録です。
それでも書く意味があると思ったのは、調べる前の私が知りたかったことが、はっきりしているからです。一軒家まるごとだと、いくらからいくらまでありえるのか。何で金額が決まるのか。そして、どうすれば安くできるのか。その3つを、順に書きます。
この記事でわかること
- 一軒家の遺品整理費用の目安と、金額の幅が大きい理由
- 見積もりの金額が何で決まるのか(物量・間取り・搬出条件・処分費)
- 一軒家ならではの「高くなりやすいポイント」
- 費用を抑えるためにできる4つのこと(わが家で効いたことも含めて)
先に結論だけ言うと、こうです。
一軒家まるごとの遺品整理は、私が調べた範囲では、おおむね20万〜70万円の幅で示されることが多く、物量や状況によっては100万円を超える例もあります。幅が大きいのは、金額が「家の広さ」よりも「物の量と搬出のしやすさ」で決まるからです。だからこそ、1社の見積もりだけで決めずに、比べることに意味があります。
一軒家の遺品整理費用の目安|幅が大きいことこそが実態
業者各社や業界団体が公表している料金の目安を、私はいくつも見比べました。間取り別によく示されるのは、だいたい次のような幅です。
| 間取り | よく示される目安 |
|---|---|
| 1R〜1DK | 3万〜12万円前後 |
| 2DK〜2LDK | 9万〜30万円前後 |
| 3DK〜3LDK | 15万〜50万円前後 |
| 4LDK以上・一軒家まるごと | 20万〜70万円前後(状況により100万円超も) |
正直、最初にこの幅を見たときは「結局いくらなんだ」と思いました。でも調べていくうちに、この幅の大きさこそが実態なのだと分かってきました。同じ「4LDKの一軒家」でも、物が少ない家と、物置や庭まで物で埋まった家とでは、トラックの台数も人手も日数もまるで違うからです。
だから、表の金額はあくまで入口の目安です。あなたの家の金額は、現地見積もりでしか出ません。そして見積もりは、ほとんどの業者が無料でやっています。
金額は何で決まるのか|見積もりの中身
見積もりの金額は、おおまかに言うと「人手×日数+トラック+処分費」でできています。具体的には、こういう要素で上下します。
- 物の量:いちばん大きい要素。トラックの台数と作業員の人数がここで決まる
- 搬出のしやすさ:家の前に車を停められるか。2階からの運び出しがどれだけあるか
- 処分費のかかる物:家電リサイクル法の対象(冷蔵庫・洗濯機・テレビ・エアコン)は別途料金になることが多い
- 買取できる物:着物・骨董品・貴金属などは、買い取ってもらえれば費用から差し引ける
- 特殊清掃の有無:亡くなった状況によっては、通常の遺品整理と別の作業が必要になる(うちはこの部分を父が担いました。特殊清掃の費用と、現場をどうするかに検討の記録があります)
一軒家で高くなりやすいポイント|伯父の家を前に思ったこと
マンションの遺品整理と違って、一軒家には「家の中」以外があります。伯父の家を前にして、見積もりの立場で眺めてみると、高くなりそうな場所がいくつも目につきました。
庭。伯父はブロックを段々に組んで、庭を自分で作り込んでいた人でした。ああいう物は、運び出すのも処分するのも、家具より手間がかかります。それから2階。部屋がふたつあって、階段でしか下ろせません。縁側の物、台所の食器、押し入れの中。家一軒には、76年分の暮らしの跡が入っています。
ただ、うちの場合、家の中の物は驚くほど少なかった。伯父が生前整理で、自分の物をかなり処分してくれていたからです。最低限の生活品しか残っていない部屋を見て、ありがたい、と、悲しい、が、また同時に来ました。物の量がそのまま見積もり金額になるのだとしたら、伯父は最後に、私たちの払う金額まで減らしてくれたことになります(伯父が遺してくれた「片付けなくていい家」)。
これは裏を返せば、こういうことでもあります。物量の多い一軒家なら、目安表の上のほうか、それ以上を見ておいたほうが現実的だということ。そして、その金額を誰が払うのかは、また別の問題として残ります。負担のルールについては遺品整理の費用は誰が払う?に分けて書きました。
孤独死後の一軒家は、片付け費用と特殊清掃を分けて見る
孤独死後の一軒家を片付ける場合、「一軒家だから高い」の前に、通常の遺品整理と特殊清掃を分けて考えたほうが見通しが立ちます。家財の量が多いだけなら遺品整理の見積もりで済みますが、部屋の状態によっては消臭・除菌・床や壁の原状回復に近い作業が別に必要になることがあります。
| 見積もりで分ける項目 | 確認すること |
|---|---|
| 遺品整理 | 部屋数、物量、家具家電、庭や物置、2階からの搬出 |
| 特殊清掃 | 通常清掃で足りるか、消臭・除菌・床材の対応が必要か |
| 買取・処分 | 着物、骨董品、貴金属、車、家電などを処分前に査定するか |
| 不動産処分 | 片付け後に住む、管理する、売却する、解体するのどれか |
部屋の初動は孤独死の遺品整理と部屋の片付けに、特殊清掃の線引きは特殊清掃は自分でできるのかに分けました。費用を誰が払うかは遺品整理の費用は誰が払う?、家を売る方向まで考えるなら事故物件を相続したときの売却準備もあわせて確認してください。
費用を抑える4つの方法
①自分たちで減らせる物を、先に減らす
金額の最大の決め手が物量なら、物量を減らすのがいちばん効きます。書類・貴重品・写真のような「自分たちで仕分けるべき物」を先に確保したうえで、明らかなゴミや古い日用品を自治体の回収で減らしておくだけでも、見積もりは変わります。何を残すべきかは遺品整理で捨ててはいけないもの一覧にまとめています。
ただし、急がなくていい物まで処分する必要はありません。私の家でも、写真と人形は手つかずのまま残してあります(遺品整理はいつから始める?)。減らすのは、心が痛まない物からで十分です。
②売れる物は査定に出して、費用から差し引く
着物・骨董品・貴金属・カメラのような「値打ちの分からない物」は、処分する前に査定で値段を聞いておくと、支払いの一部を相殺できることがあります。一軒家には、こういう物が思いのほか眠っています。売れそうな品がまとまってあるなら、出張査定で値段を聞いてから決めても遅くありません。
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③見積もりは必ず複数とって比べる
ここは、車を1社だけの査定で手放して5万円だった私が、いちばん強く言いたいところです。幅が20万〜70万もある作業で、1社の言い値だけを聞いて決めるのは、比べる物差しを持たないまま決めるということです。同じ家でも、業者によって見積もりは本当に変わります。
業者選びで気をつけたいトラブルの実例は、遺品整理が「やばい」3つの理由に公的機関の公表事例をまとめています。
実際に複数とるなら、1社ずつ電話をかけて日程を組むより、1回の入力で最大5社にまとめて見積もりを頼める無料の一括サービスを使うほうが消耗しません。私が車でやってしまった「1社の言い値で決める」を、最初から避けられます。
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④比べる体力がないなら、紹介窓口から始める
そうは言っても、身内を亡くした直後に、何社にも電話をかけて条件を見比べる気力が残っていない時期は、確かにあります。私も、車のときはそうでした。その場合は、全国の加盟店から対応できる業者を紹介してくれる窓口に、最初の相談をひとつ入れるところから始めるやり方もあります。紹介と見積もりは無料です。
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金額を調べながら、見ていたのは値段だけではなかった
費用を調べるというのは、突き詰めれば、家の中の物を「運ぶ手間」と「処分費」に換算していく作業です。でも実際に伯父の家でそれをやろうとすると、目に入るのは金額になる前のものばかりでした。段々に組まれた庭のブロック。ふた間続きの和室。物が少ない部屋そのもの。
金額の話と、気持ちの話は、分けて書きたくて、この記事は金額の話に絞りました。それでも、調べる手を何度も止められました。一軒家の遺品整理の見積もりとは、そういう作業だと思っておいてください。だから、進まない日があっても、おかしいことではありません。
まとめ|目安は20万〜70万。ただし決めるのは物量と比較
- 一軒家まるごとの目安はおおむね20万〜70万円。物量次第で100万円を超える例もある
- 金額は「人手×日数+トラック+処分費」。最大の決め手は物の量
- 一軒家は庭・物置・2階など、家の中以外で金額が伸びやすい
- 孤独死後は、通常の遺品整理と特殊清掃・原状回復を分けて見積もる
- 抑える方法は4つ:先に減らす/売れる物は査定で相殺/複数見積もりで比べる/体力がなければ紹介窓口から
目安の幅に振り回されず、あなたの家の金額は現地見積もりで確かめてください。そして、1社では決めないでください。それだけで、払いすぎの大半は防げると、調べてきた立場から思います。
よくある質問
Q. 一軒家まるごとの遺品整理はいくらかかりますか?
A. 私が各社の公表料金を調べた範囲では、20万〜70万円の幅で示されることが多く、物量によっては100万円を超える例もあります。金額は間取りより物の量で決まるので、現地での無料見積もりを複数とって比べるのが確実です。
Q. 一軒家の遺品整理にかかる日数はどのくらいですか?
A. 業者に頼んだ場合は1〜3日程度の例が多いようです。自分たちでやる場合は、数か月単位を見ておいたほうが現実的です。うちは伯父が生前整理をしてくれていた家でも、半年経ってまだ途中です。
Q. 自分で遺品整理をすれば費用は安くなりますか?
A. 物量を減らせるぶん安くなります。ただ、家電リサイクル料や運搬の手段は自分でやっても必要で、体力と気持ちの消耗も小さくありません。私は「書類と貴重品は自分で、重い物と量は業者で」という分け方が現実的だと感じています。
Q. 孤独死後の一軒家は、遺品整理費用以外に何を見ればいいですか?
A. 通常の遺品整理費用に加えて、特殊清掃、消臭・除菌、賃貸であれば原状回復、持ち家であれば売却・管理・解体の方向性を分けて確認します。まず遺品整理と特殊清掃を同じ見積もりに混ぜず、作業範囲を分けて聞くと判断しやすくなります。
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