MENU

親や身内の借金は亡くなったらどうなる?相続放棄の話

PR本記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。私が実際に経験したことをもとに、自死遺族の当事者の目線で書いています。専門家ではなく、ひとりの遺族の手記としてお読みください。

身内を亡くしたあと、ふと、こわい考えがよぎることがあります。

「この人に、もし借金があったら。それも、私が払うことになるんだろうか」と。

私もそうでした。伯父を亡くして、相続の手続きを進めるなかで、いちばん最初に向き合ったのが、この不安です。

先に、結論だけ書いておきます。

・借金は、亡くなっても消えません(チャラにはなりません)
・原則として、相続人に引き継がれます
・でも、「相続放棄」という出口があり、それを選べば借金を引き継がずにすみます。
・期限は、亡くなったことを知ってから、原則3ヶ月
・そして——遺品を先に処分してしまうと、相続放棄ができなくなることがあります。だから、急いで片付ける前に、まず確認してください。

長く読めない状態の人もいると思うので、大事なところだけ先に置きました。ここから先は、私が手続きの中で知ったことを、ゆっくり書いていきます。


目次

借金は「チャラ」にはならない。原則、相続される

まず、いちばん不安なところから。

人が亡くなると、その人の財産は、相続人に引き継がれます。ここで多くの人がうっかりするのが、「財産」には、プラスのものだけでなく、マイナスのものも含まれるということです。

プラスの財産は、預金や家、土地など。マイナスの財産が、借金やローン、未払いの税金などです。

そして相続は、原則として「セットで」引き継ぐことになります。「プラスだけもらって、借金はいらない」という、いいとこ取りはできません。

だから、「亡くなったから借金もなくなった」とはなりません。誰も手続きをしなければ、借金は相続人のところに残り続けます。


私の場合|「借金も相続される」と知った時のこと

伯父は、後期高齢で、結婚はせず、ひとりで暮らしていました。亡くなったあと、相続人になったのは、きょうだいである母と、その代わりに動いた私です。

相続の手続きを調べはじめてすぐ、私はこの「マイナスの財産も引き継ぐ」という事実にぶつかりました。

それまで私は、相続というのは「遺された財産を分ける手続き」だと、ぼんやり思っていました。でも実際は違った。故人にどれだけの財産があり、どれだけの借金があるのか。それを確認するところから始まる手続きだったのです。

だから私も、まず確認する必要がありました。目に見えない借金が残っていないか、調べないことには次に進めなかった。

※伯父に実際に借金があったかどうかは、ここでは書きません。あったとも、なかったとも、私が断定して書くべきことではないからです。伝えたいのは、「確認しないといけないものなんだ」と知ったこと、その時の心細さだけです。

財産調査として、何を確認するのか(一般的な方法)

故人の借金の有無を調べることを、財産調査と呼びます。一般的には、こういう方法があるとされています。

  • 通帳・口座の動き:毎月、決まった額が引き落とされていないか。ローンや返済らしき記録がないか。
  • 郵便物:金融機関やカード会社、督促状のような書類が届いていないか。亡くなったあとに届くものもあります。
  • 信用情報機関への照会:個人の借入情報を管理している機関(CIC・JICC・全国銀行協会など)に、相続人が照会して、借入の記録を確認するという方法もあります。

専門的に聞こえるかもしれませんが、要は「通帳と郵便物を見て、それでも不安なら専門の機関に問い合わせる」ということです。私自身、こうした確認は、ひとつずつ、不安をつぶすようにやっていきました。


相続放棄とは|借金を引き継がない「出口」

では、もし借金が見つかったら。あるいは、見つかるのが怖いなら。

そのために用意されている出口が、「相続放棄」です。

相続放棄とは、ものすごく簡単に言うと、「私は、この人の財産も借金も、いっさい引き継ぎません」と、家庭裁判所に申し立てて認めてもらう手続きのことです。

これが認められると、最初から相続人ではなかったことになります。だから、借金を払う義務もなくなります。借金が不安なときの、いちばん大きな出口です。

ただし、いくつか、知っておかないと取り返しのつかないことがあります。

① 期限は「知ってから3ヶ月」

相続放棄には、期限があります。自分が相続人になったことを知ったときから、原則3ヶ月以内。これを過ぎると、原則として放棄ができなくなります。

身内を亡くした直後の3ヶ月は、あっという間です。葬儀があり、各種の手続きがあり、悲しみのなかで時間だけが過ぎていく。だから、借金の不安が少しでもあるなら、「あとで考えよう」ではなく、早めに動いたほうがいいと、私は手続きをやってみて思いました。

② 「借金だけ放棄」はできない

勘違いしやすいのですが、「家はもらうけど、借金だけ放棄する」ということはできません。放棄するなら、プラスもマイナスも、まとめて全部です。ここは、よく考える必要があるところです。

③ 遺品を先に処分すると、放棄できなくなることがある(⚠️ここが大事)

これが、私がいちばん伝えたいことです。

故人の遺品を、相続放棄をする前に勝手に処分したり、使ったり、お金に換えたりしてしまうと、「あなたは相続するつもりだった」とみなされて、相続放棄ができなくなることがあります。

つまり、「早く部屋を片付けたい」という気持ちで遺品整理を先に始めてしまうと、あとで放棄したくてもできない、という事態が起こりうるのです。

これは、本当に気づきにくい落とし穴です。だから——借金の不安が少しでもあるなら、遺品整理を始める前に、まず確認してください。

遺品整理をいつから始めればいいのか、私自身が迷ったときのことは、こちらに書いています。


保証人・連帯保証人になっていた場合は、別の話

もうひとつ、注意が必要なことがあります。

亡くなった人ではなく、あなた自身が、誰かの借金の「保証人(連帯保証人)」になっていた場合。これは、相続放棄では解決しません。

保証人としての義務は、相続とは別に、あなた自身がもともと負っている義務だからです。たとえば、亡くなった親の借金の連帯保証人に、あなた自身がなっていたようなケースです。

このあたりは、状況によって判断が難しいので、心当たりがあるなら、自己判断せず、専門家に確認したほうが安全です。


迷ったら、ひとりで抱えず、専門家へ(無料の窓口があります)

ここまで読んで、「結局、自分のケースはどうなんだろう」と、もやもやしている人も多いと思います。

相続や借金の話は、ひとつとして同じケースがありません。借金があるか分からない段階でも、専門家に整理してもらうのがいちばん早い。私自身、相続登記は司法書士の方にお願いして、ずいぶん気持ちが軽くなりました。

そして大事なのは、「相続放棄するかどうか、まだ迷っている段階」でも相談していいということです。決めてから相談するのではなく、決めるために相談する。そのための、無料で聞ける窓口があります。

相続放棄するか迷う段階でも、無料で聞ける窓口

「借金があるか分からない」「放棄したほうがいいのか判断できない」——そんな、まだ何も決まっていない段階の相談こそ、専門家の出番です。下の窓口は、相続にくわしい専門家に無料で相談できる入口です。

相続アシストに無料で相談してみる

相続の悩みを、専門家に無料で相談できる窓口(相続アシスト)。借金が不安な段階でも大丈夫です。

また、「お金をかけたくない」「まずは公的な窓口で聞きたい」という場合は、法テラス(日本司法支援センター)という、国の機関もあります。

  • 法テラス・サポートダイヤル0570-078374(平日9時〜21時/土曜9時〜17時)

収入などの条件を満たせば、無料で法律相談を受けられる制度もあります。「どこに相談していいか分からない」ときの、最初の一歩としても使えます。


よくある質問

親が亡くなったら、借金は子どもが払うことになりますか?

原則として、相続人である子どもに引き継がれます。ただし、相続放棄をすれば、引き継がずにすみます。期限は、亡くなったことを知ってから原則3ヶ月です。

借金があるかどうか分からないときは、どうすれば?

まず、通帳の引き落としや、届く郵便物を確認します。それでも不安なら、信用情報機関への照会という方法もあります。判断に迷うなら、無料の窓口で相談するのが確実です。

相続放棄したら、家や預金ももらえなくなりますか?

はい。相続放棄は「全部いらない」という手続きなので、プラスの財産も引き継げません。借金だけを切り離す、ということはできません。プラスとマイナス、どちらが大きいかを見て判断することになります。

もう遺品を片付けてしまいました。相続放棄はできませんか?

状況によります。何を、どう処分したかによって、判断が変わります。自己判断せず、できるだけ早く専門家に相談してください。手遅れと決めつける前に、まず聞いてみることをおすすめします。

気づいたら3ヶ月が過ぎていました。もうだめですか?

原則は3ヶ月ですが、「借金の存在を後から知った」など、事情によっては認められる場合もあるとされています。あきらめる前に、専門家に状況を話してみてください。


身内を亡くしたあとに、お金のことまで考えるのは、本当にしんどいことです。私も、悲しみと手続きが同時に押し寄せて、何度も投げ出したくなりました。

それでも、借金のことだけは、放っておくとあとで自分に返ってきてしまう。だから、ひとつだけ覚えておいてください。消えないけれど、引き継がない選択肢はある。期限は3ヶ月。片付ける前に、確認を。

それさえ頭の片隅にあれば、あとは、あなたのペースで大丈夫です。

※この記事は、相続の手続きを実際に経験した、ひとりの遺族の手記です。制度の正確な内容や、個別のケースの判断については、法務局・家庭裁判所・司法書士・弁護士などの専門家や、法テラスなどの公的窓口にご確認ください。ここに書いたのは、専門家の見解ではなく、当事者として知ったことの記録です。

あわせて読みたい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次